健康のためなら、死ねる

黄昏が綴る、日々の雑記

「寿司は回らないものだ」という原則を大事にしたい

数日前になるが、ある寿司店で昼食をとった。

妻子がいると、まず行けない店だ。

 

これは各々の事情があって

 

妻・コスパが良くないと自分が判断した店には行かない

子・待ち時間がある店には行きたがらない

 

この2人の意向をくんだ場合、スシローか、はま寿司になってしまう。

くら寿司は味が安定しない、従業員の過労死にだんまり決め込んだままなので選択肢にない)

つまり、妻子がいる時には自分が考える、いい寿司店に行くことはできないという事情がある。

 

その辺りにある個人店に行って、贅沢をしなければ回らない寿司もそれほど高価ではない。

だが、そうした店に子供を連れて行くのは、ご迷惑をおかけするリスクを伴う。

 

回らない寿司店に行ってみた

さて、私一人で行く、いつもの寿司店だ。

かれこれ30年は続いていると思う。

ここは回転寿司がたくさんできた頃にオープンした店で、ネタの品質がいいのに安い。

産地を明記していたり、仕入れの写真を掲載していたりと、高付加価値であることをアピールしている。

米や野菜まで自前で育てているんだから、ちょっとすごい。

 

回転寿司のレールこそあるが、バックキッチンで作るものが流れてくるだけで

事実上は、もはや回転しない寿司店に近い。

 

今は大手回転寿司店の競争が激しく、大手に地域毎の一番店くらいしか生き残っていない。

そんな中で、珍しく1店舗だけ生き残っている。

 

さて、頼んだのは

 

昆布締め天然鯛握

ネギトロ軍艦

コハダ

馬刺握

馬刺たてがみ握

下関産のどぐろ炙り握

 

これで、1060円だった。

昼ご飯にこれだけ食べられれば十分だろう。

のどぐろを食べなければ余裕で1000円切っていたが、

のどぐろなんて高級魚には妻子がいるとまず手が出せないし、

仮に大手回転寿司にこの手のネタがあっても、値段ばかり高価で味が伴わないことが多い。

 

大手回転寿司店では食べられないクオリティのものばかりだ。

 

いい話ばかりではない。

この寿司店、以前と比べてしれっと価格改定をしていた。

それも、しれっとの割にはなかなか強気な価格改定で、ほぼ倍。

これだけ値上げするなら、どこかに価格改定のお知らせくらい書いていてもらいたい。

 

さらに、いくつかのメニューをやめていた。

例えば、昆布締め天然鯛握と一緒に、昆布締め天然ひらめ握を必ず頼んでいたのだが、

オーダーをするタブレット端末からはこれが消えてしまっていた。

 

平日昼間というのもあるんだろうけど、客は私を入れて2人。

しかも客単価はそんなに上がらないだろうと考えると、スタッフの人件費も賄えない。

この店は以前は週末ともなると全席埋まって順番待ちができるほどだったのだが。

ちょっと運営を心配になる。

 

回転寿司と回らない寿司は、違う食べ物だ

いわゆる、檜のカウンターがある昔ながらの寿司店にしてもそうだが、

同じ寿司という食べ物のはずなのだが、回転寿司か回らない店か、は根本的に違う世界だと思っている。

 

なので、大手寿司店の中でも、すしざんまいや築地すし鮮などになると、

回転寿司とはまた違ったジャンルの営業形態と捉えている。

(これらの店の青海苔軍艦巻き、むちゃうまいので食べたことない人は是非!)

 

寿司店にはお子様向けのメニューなど殆どない。

代わりに、その時、その近辺で一番美味しい寿司を食べさせてくれるという原則がある。

 

回転寿司が悪いというわけではない。

寿司が手軽に味わえるというのは回転寿司ができてからのことだし、

今では従来のファミレスの機能を完全に補完している。

子供が納得するというのと、家計に優しいという点で、メジャーになるのも当然だ。

 

檜のカウンターしかない寿司店で、息子が騒いだりしたら心臓飛びでそうになるが、

スシローだと、どこかの赤子が泣きぐずっていても、ああ、眠いのかな…くらいなのものだ。

 

今の学生さんや若い方は回転寿司には行ったことあるけれど、回らない寿司店には行ったことがない、

という人が珍しくない。

 

やむを得ない部分も多分にあるけれど、私は食育、社会見学の一環として

回らない寿司店で、寿司本来の味わいを、しっかりと息子に伝えたいと思っている。

(いくら1カン680円の店行った時は、息子の満足そうな顔がなければ報われないほど高くついたが)

 

既に息子はすしざんまいの「まぐろ尽くし膳」が回転寿司のものとは

全く別のものであることを知っている。

 

こういうのも、食育とか、情操教育の一環だと捉えている。

貧しい食生活では、豊かな感性は育たない。